税理士の長村です。
世間は夏真っ只中で、今日からお盆休みの会社も多いと思います。
で、昨日クライアントと実家に帰省するんですかという話から飛躍して、
せっかく家族が揃うのなら親が勝手に名義預金していないか聞いてみるべきだと話していたんです。
そしたら「いやぁ、金の話を親にするのはちょっと....。」ということでしたので、
実体験を交えて、ちゃんと聞いておくべきだということをお話ししたのでこっちにもメモっておこうと思います。
今日、二日酔いで朦朧としながらワイドショーを見てたら、
「お盆に実家に帰省したら、相続の話をしておきましょう」って特集をしていたので、タイムリーなネタでもありますからね。
僕が小学生の時におじいちゃんが亡くなったんですが、そのおじいちゃんの相続の時にも「名義預金」が問題になりました。
おじいちゃんが両親や僕ら孫の通帳を勝手に作って、そこに毎年コツコツお金を貯金していたんですよね。
で、おじいちゃんが亡くなってから、そんな通帳があったことがわかったんですが、
相続を担当した税理士さんには名義預金があったことは伝えず、申告書を作ってもらって相続税の申告をしたそうなんです。
そしたら、その後税務調査が実施され、そこで名義預金の存在がバレてしまい、相続税の修正申告をさせられてえらい相続税を追加で支払うことになったそうなんです。
名義預金とは?
一般的に名義預金とは、子供や孫のために親が通帳を勝手に作ってそこにコツコツ貯めている預貯金のことをいいます。
当然親は子供らには内緒で貯金しているので、大体は相続が発生してから遺品整理している時に見つかります。
親は良かれと思って、名義預金をしてくれているのでしょうが、それって相続対策にもなりませんから全く意味ないです。
名義預金をされる方は一応贈与税の非課税枠(110万円/年)を超えないように貯金しているケースが多いのですが、
「贈与」とは贈与者(貯金する人)と受贈者(名義預金通帳の名義人)との間で、贈与の「申し込み」、「承諾」することにより成立する法律行為なので、
名義預金のように受贈者の承諾のない預貯金の場合にはこの「贈与」自体が成立していないことになります。
当然贈与自体が成立していないわけですから、贈与税の非課税枠内かどうか以前の話ってことです。
最も最悪なケースは名義預金通帳の登録印が親が管理している印鑑だったり、名義預金の入金のみで他の入出金がない場合です。
このような預貯金については間違いなく「名義預金」として認定されてしまいます。
じゃ、どうすればいい?
一番いい方法は親から子供らに白状させることです。
その上で、名義預金になってしまっている通帳の登録印を変更し、子供らの管理下で保管させるべきです。
ただし、親の体調が悪くなってからこういったことをしたところで相続対策であることはミエミエなので、できるだけ事前に対策しておくべきでしょう。
過去の贈与が成立しているかどうかという点は問題ではありますが、贈与税の非課税枠内での贈与であれば、それほど大きな問題にはならないでしょう。
また、税務調査でバレるかどうかですが、税務署は職権により金融機関から通帳の明細を名寄せで入手することができますから、
亡くなられた方のみならず、相続人の方々の通帳もチェックされていると考えておくべきです。
税務調査で通帳を持っている金融機関を尋ねられて答えた金融機関の他に、名寄せで入手した金融機関の通帳がある場合には、その通帳は名義預金の可能性が大だとバレてしまいます。
一つがバレれば他にもあるはずと考えるのが調査官としては自然な流れなので、結局全部白状させられてしまうことになりますから。
せっかく良かれと思ってしてくれた親の努力が全て無駄になるケースをこれまでにも多く見てきましたから、
みなさんが、お盆に実家に帰省するのであれば、一言、親に「名義預金」していないか?と聞いてみたらどうかと思います。
「やってるよ。」と返答があれば、それ相続対策にならないから、やってくれるならちゃんとやって欲しいと伝えればいいんです。
内緒とか言われたら、それ100%やってますから、↑の話をしてあげれば、そのうち白状するでしょう。
僕の親も恥ずかしながら名義預金をしていましたが、それ何の相続対策にもならないからと話しました。
そうしたら渋々ではありましたが、他の兄弟にも名義預金の存在を明らかにしてくれましたよ。
僕はもう40手前のおっさんなので、他の兄弟も皆ええ歳なんですが、親からしたらいつまでも頼りない子供に見えるんでしょうね。
名義預金をしてくれてたという親の気持ちには感謝していますが、子供もええ歳なんやから、もう少しちゃんとやろうや笑