税理士の長村です。
住宅ローン控除について調べている過程で、
夫婦共働きであれば、住宅ローン控除をW適用できるかもと思い検討してみました。
※よく共働きの夫婦がやられる一つの物件の住宅ローンを「連帯債務」することによるW適用ではなく、夫婦が別々の住居を住宅ローンを組んで購入し、果たしてそれぞれが住宅ローン控除を適用できるのかが今回のテーマです。
住宅ローン控除は実際にその住居に居住していることが要件になっていますから、
住民票だけ移して、実際は夫婦同じ家に居住しているとかは当然NGです。
夫婦の形は千差万別でしょうから、少数でしょうが別居婚やら週末婚のような結婚スタイルを取っている夫婦もいらっしゃるでしょう。
また、転勤や子供の学校の都合から必要に迫られて単身赴任されて別々に居住しているケースもあると思います。
インターネットでググってると、離婚調停中の別居等に関する記事も散見されましたが、このようなケースも同様です。
今回の住宅ローン控除のW適用について検討の当事者となることができるのは、このように夫婦が別居しているケースです。
住宅ローン控除のW適用
住宅ローン控除の適用要件にはたくさんの要件がありますが、W適用の際に問題となってくる要件は下記のものです。
新築又は取得の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
(注) その者が死亡した日の属する年又は家屋が災害により居住の用に供することができなくなった日の属する年にあっては、これらの日まで引き続き住んでいること。
なお、居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合には、主として居住の用に供する一つの住宅に限られます。
上記の適用要件から読み取れるのは、下記の2点です。
- 住宅ローン控除の適用を受ける人が実際に住んでいること。
夫婦が別々の住居で生活している実態があるのであれば、住宅ローン控除のW適用を妨げるものではありません。
- 住宅ローン控除の適用を受ける人が複数の住居を所有している場合には、メインで居住している物件であること。
前回の「住宅ローン控除の連続適用」のエントリーにも関連する部分ですが、
住宅ローン控除の適用を受ける人が住居と別宅(又は別荘)を所有している場合には、
普段生活するメインの住居でないと住宅ローン控除の適用はできませんが、
夫婦で2つの住居を別々に所有している場合について、どちらかしか適用できないとは規定されていません。
つまり、夫婦共働きで共に収入があるなら、別々に住宅ローンを組んで住居を購入し、実際にその住居で日常的に生活している実態があれば、夫婦が別々にそれぞれの物件について住宅ローン控除の適用を受けることができます。
ただし、同じマンションの住居を別々に購入し、一方の住居で夫婦共に生活し、他方の住居には日中子供の面倒を見てもらうために両親を住まわせるような、上記の適用要件を満たさないようなことはやめておくべきでしょう。実務上、税務署にバレることはないでしょうが、これはモラルの問題です。
居住している証明について
住宅ローン控除の適用に際して、その住居に居住しているかどうかは住民票に記載された住所により判定することになります。
戸籍と住民票は別々のものですから、婚姻関係(戸籍)はそのままで住民票だけをを別々に登録することは可能です。
また、税務署への住民票の提出は住宅ローン控除の適用を受ける初年度(居住年度)のみですから、
その後、どこに住んでいるのか確認されることはほぼありませんが、かといって悪用はいけません。
国民健康保険料について
意外と盲点だと思うのですが、国民健康保険に加入している場合には、国民健康保険料の計算は世帯収入に応じて行われます。
従って、夫婦が別々の住居で生活している場合には、住民票に連動して、それぞれ別世帯として国民健康保険料の計算が行われます。
国民健康保険料には上限が設けられていますので、同居していればその上限に達していることで支払う必要のなかった保険料が、別世帯として別々に計算されてしまうことにより余分に負担しなくてはいけなくなるというケースがあります。
ただし、夫婦のどちらかが、勤務先等で社会保険に加入している場合には上記の世帯収入の計算に含まれませんし、共に社会保険に加入している場合にはこういった余分な負担は生じません。