東京(渋谷区・恵比寿)の税理士事務所|税理士法人セルボ・クレール 東京事務所
東京都渋谷区恵比寿1-23-21 ヤマトハイツ802号室
  1. ビットコインを使用することにより生じる損益について考えてみた。
 

ビットコインを使用することにより生じる損益について考えてみた。

2017/09/11 ビットコインを使用することにより生じる損益について考えてみた。
税理士の長村です。

この土日は某所に「仮想通貨が暴騰して、僕の資産が倍増しますように。」とかお祈りしに行ってきたのです(というのは冗談です)が、旅行先でTLを見ていると、先日国税庁から出されたタックスアンサーの記載をもって、「ビットコインからアルトコインへの換金」も雑所得の計算対象になるのでは?ということが多数書かれていました。

僕の感じた第一印象は先日エントリーした通りなんですが、タックスアンサーにはそこまで詳細な取り扱いの記載はなかったんじゃないかと思い、今このエントリーを書いています。

まぁ、当初はあんまり注意していなかった「邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益」って何ってところなんでしょうね。

というわけど、この部分について掘り下げて検討してみたいと思います。

邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益
「邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益」とは一体何かという点についてですが、同様の表現をしている条文等は他には見当たりませんでしたので、一般的な解釈として「邦貨=円」、「外貨=ドル」と読み替えると「円又はドルとの相対的な関係により認識される損益」となります。

何を意図してこのような定義にしたのかはわかりかねますが、要は「相場の変動により生じる損益(差損益)」のことを意味しているのではないかと考えます。
ビットコインは円やドル等の相場にある意味連動して動いているはずですし、円建てと外貨建てでの価格も微妙に異なってはいますが、やがてあるべき価額に収斂していくものと考えられます。従って、このように解釈するのが適切ではないかと考えます。

また、ビットコインは暗号通貨(以下「仮想通貨」)の世界での基軸通貨であるといわれていますので、基本的に他のアルトコインの相場形成のために価額が上下するわけではないと考えられ「邦貨」又は「外貨」と定義したのではないかと思います。
従って、アルトコインの場合には「邦貨又は外貨又はビットコインとの相対的な.......損益」と解釈すべきだということなんでしょう

ただし、最近あった中国当局によるICO規制によって、そのICOの購入対価となるビットコインが暴落してしまいましたが、このことからもビットコインと他のアルトコインとの間にはドル・円以上に強い相関関係があることは明らかではありますが、その点については特段考慮されていないように感じます。これは、通常の為替も広くとらまえれば国という大きな資金ニーズ(これがビットコインでいうところのICOに相当するのかな?)に連動して為替が上下するわけですが、ICOというニーズによってビットコインの価格が上下するとはいえ、最終的には「円換算」を行う必要があることから、このような表現になっているのではないかと推測します。アルトコインについても同様にビットコインをベースに価格が決定するものと考えられますから同様の解釈なのではないかと考えます。

ビットコインを使用することにより生じる損益
上記の通り、「邦貨又は外貨により認識される損益」だけでは、「ビットコインからアルトコインへの換金」についても課税の対象となるのかどうかについてはハッキリしません。

従って、次はTLでたくさんの人が課税の根拠とされている「ビットコインを使用することにより生じる損益」について検討していきたいと思います。

タックスアンサーでは下記のように記載されています。

[平成29年4月1日現在法令等]

 ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

 このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

(所法27、35、36)


この「使用する」という書き振りが誤解を生むのだと思いますが、TLでは「使用する」を広義にとらまえて下記のように解釈されています。
@物品やサービスの購入の対価として使用する。
A他のアルトコインへの換金のために使用する。
Bその他仮想通貨のプラットフォームにおける手数料(送金手数料など)として使用する。
あながち間違ってないと思います。
質疑応答事例の外貨の換金についても下記のような取り扱いが明らかにされていますので、これに準じた解釈であると考えられます。

保有する外国通貨を他の外国通貨に交換した場合の為替差損益の取扱い

【照会要旨】

 100万円の現金を米ドル(1万ドル)に交換し、その後、この米ドル(1万ドル)を他の外国通貨(8,000ユーロ)に交換した場合、ユーロへの交換時に為替差損益を所得として認識する必要はありますか。

米ドルへの交換時のレート・・・1ドル=100円

ユーロへの交換時のレート・・・1ユーロ=150円

【回答要旨】

 為替差益を所得として認識する必要があります。

 為替差損益は、一般的には異なる通貨の交換(往復)により発生するものですが、照会のように、円から米ドルに交換し、これをユーロ等他の外国通貨に交換した場合であっても、その外国通貨への交換時に、当該外国通貨(ユーロ)の額をその交換時の為替レートにより円換算した金額と当初の円から米ドルへの交換時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)が所得税法第36条《収入金額》の収入すべき金額として実現したと考えられますので、これを所得として認識する必要があります

 ・ 為替差益・・・(150円×8,000ユーロ)−100万円=20万円

(注) 外貨建預貯金の元本及び利子をあらかじめ約定した率により他の外国通貨で支払われる場合の元本部分に係る差益については、外国通貨を円に交換(往復)する取引ではないものの、その支払時において課税(収入すべき金額として認識)することとされており(所得税法第174条第7号、第209条の2、所得税法施行令第298条第4項第2号)、為替差損益を所得として認識するかどうかは、異なる通貨の交換(往復)に限られるものではありません。

【関係法令通達】

 所得税法第36条、第174条第7号、第209条の2、所得税法施行令第298条
「使用」という文言を「(対価として)支払う、(手数料等)を負担する、(何かに)換金する」と解釈すれば、ビットコインからアルトコインへの換金も「使用」に含まれると考えられます。しかし、なんか釈然としないんですが、この質疑応答事例を持ち出されるとグゥの音も出ません。国税庁的にはこれに準拠してビットコインの取り扱いを整備したものと推測しますが、厳密にやれってことっすね泣

正直なところ、クライアントには仮想通貨のトレード損益の計算は僕はやりませんと事前に伝えていますし、やるなら暦年(1月から12月末まで)で口座のポジションを全部決済するようにと言っています。長期保有するものについては口座と資金を分けてやるようにとも。
そのような中で個々のビットコインとアルトコインの換金、その逆も然りで損益認識するというのは「あるべき論」では正しいと思いますけど、実務上は非常に困難であると言わざるを得ません。
上記の厳密な取り扱いをしなければならないとすると、現実的な着地としては長期保有のものを除いて毎年年末の口座残高の増減を比較して損益を導き出すのがベターだという取り扱いにならざるを得ませんし、物品やサービスの対価として使用しているケースも織り込むとなるとゾッとしますね泣

例えば、下記のようになります。
 集計項目 A取引所 B取引所 トレード分合計 Wallet等
 @ 平成28年度末の仮想通貨残高(年末の円換算額)××円 ××円  ××円   N/A
 A 平成27年末の仮想通貨残高(前年末の円換算額) ××円  ××円  ××円   N/A
 B 年中の入金額額(円)××円 ××円××円 N/A
 C 年中の出金・物品購入金額等(円)××円  ××円  ××円  N/A
 D 年中の取引所間の送金金額
(取得価額:購入時の円換算額)
 +××円 
100円
△200円
300円
 △××円 
△100円
100円
0円
+(△)××円 
0円
△100円
300円
 △(+)××円
N/A
100円
△300円
 E仮想通貨の取引損益(含み損益を含む)上記@-A-B+C-D上記@-A-B+C-D 上記@-A-B+C-D N/A
※あくまでご参考。きちんと長期保有目的(wallet保有分)分を他のトレード分と区分して購入しているのなら、上記の集計から外して個別に管理すればいいと思いますが、トレードしている中の一部の通貨を長期保有に振り替えるとなると取引履歴から取得価額(購入時の円換算額)を算定しないといけなくなるので少しメンドくさいことになります。(上記Dの処理が必要です。)
また、上記の計算では含み損益も全て実現したことになってしまうので問題はありますが、申告しないよりは大分マシかと思います。さらに手間でなければ含み損益をプラマイしてもいいですけど、短期トレード目的のものの取得価額を把握するのは煩雑ですから、極力年末には決済しておくに越したことはありませんね。
過去に仮想通貨取引の申告をしていない人は上記の集計期間を過去から申告年度の年末までにして申告すべきでしょう。

まとめ
個人的には仮想通貨間でのスワップ(付け替え、換金)は価値の付け替えとして、何らかの配慮があってしかるべきかなと思いますが、残念ながら、ひとまず上記の理解で決着ですね。HPでも個人的には通貨間のスワップは課税ないんじゃないかなと考えていましたが、全項目に注釈を付けようと思います。

所得区分は当たりましたけど、通貨間スワップに対する課税は外しましたね。うーん、ま、しょうがないですね笑

改めて感じたことですが、このエントリーを書きながら、国税庁は仮想通貨法に従って仮想通貨を「支払い手段の一つ」すなわち「通貨」に準じて取り扱ったと考えられます。深いです。深い笑

追記
9月18日発行の「税務通信」で、ビットコインに対する所得税課税(タックスアンサー)についての記事が掲載されました。
当該記事では上記で論点にあげている「使用」とは「売買によりビットコインを日本円等に換金した場合だけでなく、ビットコインで資産を購入(交換)、別の仮想通貨とのトレード、ビットコインの採掘、」それぞれが該当すると記載されています。
ビットコインの使用というのがビットコインの採掘(マイニング)まで内包するっていうのは拡大解釈がえげつない気がします笑が、この記事は国税庁の書かせ記事ではないかと推測します。マイニングを使用っていうのはあまりにも無理すぎますしね。

タックスアンサーではあまり詳細に取り扱いを掲載するわけにもいかず、税務通信を通じて、世間で疑問にあがっている部分についてフォローしたんではないかと考えるのが自然なのではないかと考えます。

※税務通信の記事では上記の「使用」の論点以外は大した内容は記載されていませんでした。





税理士法人セルボ・クレール  

お問い合わせ                 

TOKYO OFFICE. 

〒150-0013

東京都渋谷区恵比寿1-23-21 ヤマトハイツ802号室

TEL:03-6721-9737(営業時間:9:30〜18:30)

FAX:03-6721-9738

Mail:info(a)cerveau-creer.com

代表社員 税理士 長村 安展                          

公認会計士・税理士 渡邉 一生


OSAKA OFFICE.

〒530-0047

大阪市北区西天満1-1-11 レーベルビル4F

TEL:06-6809-1664(営業時間:9:30〜18:30)

FAX:06-6809-7664

Mail:info(a)cerveau-creer.com

代表社員 税理士 木下 陽介

公認会計士・税理士 辻秀明