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新しくできる収益認識基準が大変そうな件

2017/09/07 新しくできる収益認識基準が大変そうな件

平成29年7月20日に企業会計基準委員会から「収益認識に関する会計基準(案)」及び「収益認識に関する適用指針(案)」が発表されました。同基準(案)の中では、平成33年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用(平成30年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から早期適用が可能)することが提案されています。

内容的には、IFRSの収益認識基準書であるIFRS15「顧客との契約から生じる収益」の内容と類似した内容です。

この基準は連結財務諸表上だけでなく個別財務諸表にも適用されるので少なくとも上場企業やその関係会社、及び会社法監査が必要な会社は対応が必要になると思われます。僕はIFRS適用支援業務を行うなかでIFRS15対応も行なったこともあるのですが、かなり大変でした。

まず必要になるのが基準が要求している会計処理と自社で行なっている現状の会計処理を比較し、問題ないかどうかをチェックことから始まると思います。
従来から財務諸表監査をちゃんと受けている会社であれば、基準の要求事項と現状行なっている会計処理方法が整合している場合がほとんどであると思われ、結果的には会計処理方法を変更しなければならないケースは少ないであろうと思います。とは言っても、網羅的にチェックすることは必要ですし、そしてチェックしなければならない範囲がかなり多く、まずこのチェック作業だけでひと苦労です。
チェックした結果、会計処理方法を変更しなければならないものに対しては、それを実現するためにシステムの見直しも含めた業務プロセスの見直しが必要になる可能性があります。収益認識に関連するものですのでトランザクション量が多いでしょうし、経理部門だけでの対応は難しく事業部門の協力が必要になるケースが多いと思います。
そのため影響を受ける人が場合によっては非常に多くなる可能性があるので注意が必要です。収益認識という会社が長く行なってきており、しかも多くの人々が関連している業務プロセスを変えるというのが大変であることは想像に難くないと思います。

この基準の中でも、特に関心が高いのは出荷基準だと思います。
ざっくりいうと収益は「財またはサービスが顧客に移転する」時点で収益を認識するとされています。(基準32項)
この「財またはサービスが顧客に移転する」時点は、以下の要素を総合的に判断することになります。(基準37項)

(1) 企業が顧客に提供した資産に関する対価を収受する現在の権利を有していること
(2) 顧客が資産に対する法的所有権を有していること
(3) 企業が資産の物理的占有を移転したこと
(4) 顧客が資産の所有に伴う重大なリスクを負い、経済価値を享受していること
(5) 顧客が資産を検収したこと

この基準をそのまま当てはめると、出荷基準は認められないと思います。
しかし、そこは日本基準らしく、この基準には適用指針に様々な「できる規定」が用意されており、その中に出荷基準を認める規定が用意されています。適用指針97項によれば、出荷時から検収時までの期間が「通常の期間」である場合には、出荷時に収益を認識することができる、とされています。そして、ここにいう「通常の期間」である場合とは、国内における出荷及び配送に要する日数に照らして取引慣行ごとに合理的と考えられる日数である場合とされています。
この合理的な日数の取り扱いがどうなるかはわかりませんが、この規定がこのまま生きるのであれば、国内取引については出荷基準は認められる方向性になると思います。
ただし、僕はわざわざ「国内」と言っている点に注目してます。つまり輸出取引については出荷基準が認められない、と判断される可能性があるのではないかと思っています。
輸出取引において「財またはサービスが顧客に移転する」時点を判断するのは、インコタームズ等の貿易条件がキーになると思います。そこでは商品が買主に移転する時点や、運賃、保険料、リスクに関する条件が定められていますので、輸出取引ごとの貿易条件によって収益認識時点を適切に設定することが基準と整合的であると言えます。そして輸出取引に対して前述した出荷時から検収時までの期間が「通常の期間」である、と判断するのは難しいのではないかと思っています。例えば貿易条件がDDP(仕向地持ち込み渡し・関税込み条件)であれば、外国の顧客の指定した目的地まで送り届けないと商品は顧客に移転しませんし、FOB(本船甲板渡し条件)であれば輸出港で船に荷物を積み込む時点で商品は顧客に移転しますが、そのような場合でも船の手配などの関係から出荷してから船に積み込むまでの期間が長くなるケースも珍しくないため、一概に「通常の期間」であると判断することは難しいのではないかと思うからです。

ところで、この基準はまだあくまで公開草案ですが、これが基準として成立した時に国内取引について出荷基準を認める規定が生き残っているかどうか・・・
個人的には、出荷時点から検収時点までの期間などごく短いものでしょうし、期首も期末も同様にズレるので損益に対する影響はごく少なくなるケースが多くなるでしょうから、あえて調整しなくても全体としては問題ないと整理できる可能性があると思いますが、IFRS適用実務において、本論点は監査法人から対応を求められるケースが多かったように思えます。この収益認識基準(案)はIFRSと同等、と謳っているのですから、監査法人のIFRSに対する判断と照らし合わせると出荷基準を認めるのか整合的であるのかどうか・・・
この規定が生き残れたとしても監査法人間、あるいは監査チームごとに判断がブレる結果、会社によって異なる会計処理を行う結果となってしまい、会社に過重な負担を強いられるようなことがなければ、と思います。




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