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  1. 特別縁故者(内縁関係)に係る相続税のまとめ
 

特別縁故者(内縁関係)に係る相続税のまとめ

2017/08/31 特別縁故者(内縁関係)に係る相続税のまとめ
弁護士さんから特別縁故者の方の相続税申告のお仕事が回ってきました。

あんまり目にしないレアな相続税申告なので、
論点を整理してみたんですが、なかなか面白いので、せっかくなのでまとめておこうと思います。

特別縁故者と表現してしまうと、よくわからないんですが、
いわゆる内縁関係の夫婦ってケースがわかりやすいと思います。

例えば、奥さんを早くに亡くした方が別の女性と内縁関係になるってのはよくあることなんじゃないかと思います。
再婚すればいいと思うのですが、親族や子供に気を使って、あえて籍を入れないって選択もあるでしょうしね。
それに熟年カップルの場合なら、ええ歳して結婚てのも恥ずかしいのかもしれませんし。
まぁ、それぞれに色んな事情があるんでしょうが、今後はこういったケースが増えてくるかもしれませんね。

また、レアなケースですが、内縁関係でもなく、被相続人の看護や介護にあたった方や、師弟関係にあった方など、
裁判所が特別縁故者と認めれば、本来相続権がない方でも相続することができるようになります。



特別縁故者に係る民法上の規定
特別縁故者となるためにはいくつかの条件があります。
簡単にまとめておくと下記のようになります。

 条件など 条文番号 
前提条件亡くなられた方(被相続人)に相続人(配偶者、子、父、母、兄弟)がおらず、かつ、遺言書がないこと
951条
要件@ 
(@>A>B)
被相続人と生計を同じくしていた者であること 
(いわゆる内縁関係にある夫婦や血の繋がりのない親子関係など)
958条の3 
要件A 
(A>B)
被相続人の療養看護に努めた者であること 
(対価を得て行う介護ヘルパーや医師などは対象に含まれません)
958条の3 
要件B 被相続人と特別の縁故のあった者であること 
(師弟関係にあった方や非常に近しい友人など)
958条の3 
まず、前提条件として、被相続人に相続人がいないことがあげられます。この条件を満たしてはじめて民法の特別縁故者に関する規定が適用されることになります。
家庭裁判所は被相続人の相続財産の管理や相続人の捜索を行うことになるのですが、相続人がいないと判断した場合に、上記の要件に該当する方からの請求に基づき相続財産の分与を決定することになります。要件は大まかに3つあるのですが、要件@>要件A>要件Bの順に相続財産の分与が優先されることになり、それぞれに分与する相続財産の割合は家庭裁判所により決定されます。

上記の要件を充足するのであれば、是非とも弁護士に相談しに行ってください。
※詳細は割愛します。


特別縁故者に係る相続税の概要
相続税法上で定める特別縁故者に係る規定は二つしかありません。細かい計算上の留意点などは相続税基本通達にいくつかあります。

(遺贈により取得したものとみなす場合)
第四条  民法第九百五十八条の三第一項 (特別縁故者に対する相続財産の分与)の規定により同項 に規定する相続財産の全部又は一部を与えられた場合においては、その与えられた者がその与えられた時における当該財産の時価(当該財産の評価について第三章に特別の定めがある場合には、その規定により評価した価額)に相当する金額を当該財産に係る被相続人から遺贈により取得したものとみなす

 

(民法:特別縁故者に対する相続財産の分与)

第958条の3

1 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。

2 前項の請求は、第958条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。

(相続財産法人に係る財産を与えられた者に係る相続税の申告書)

第二十九条  第四条に規定する事由が生じたため新たに第二十七条第一項に規定する申告書を提出すべき要件に該当することとなつた者は、同項の規定にかかわらず、当該事由が生じたことを知つた日の翌日から十月以内(その者が国税通則法第百十七条第二項 (納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで)に課税価格、相続税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

2  第二十七条第二項及び第四項から第六項までの規定は、前項の場合について準用する。

家庭裁判所により特別縁故者と認められた方が被相続人の相続財産を相続した場合には、上記の規定にある通り「遺贈」により取得したものとみなされます。「遺贈」というのはいわゆる遺言書に基づく財産の移転のことをいいます。

上記の二つの規定に基づき特別縁故者に係る相続税の論点をまとめておくと下記のようになります。

 納税義務者特別縁故者(相法1条の3、4条) 
相続税法第4条の規定により特別縁故者は被相続人から「遺贈」により相続財産を取得したものとみなされます。
 相続開始の日 被相続人が亡くなった日
相続税法第4条その他法令で特段の規定がなされていないため、相続開始の日は「被相続人が亡くなった日」とされています。従って、相続税の申告書の計算で用いる各法令や財産評価等の諸規定は、当該相続開始の日の法令を用いて計算を行うことになります。
例えば、H27年に基礎控除額や相続税の税率などが改正されているのですが、これらの計算は被相続人が亡くなった日がいつなのかに応じて計算を行うことになります。
 相続財産の評価時期 家庭裁判所の審判が下りた日、ないしは、相続財産法人から相続財産の分与を受けた日と解釈されます(相法4条)。
個人的には家庭裁判所の審判が下りた日が適切なのではないかと思うのですが、管轄の税務署にて照会したところ相続財産法人から相続財産の分与(引き継ぎ)を受けた日を基準に時価評価するようにとのことでした。
 相続財産の時価評価 相続財産法人から分与を受けた財産のうち、時価評価が必要なものについては、相続税評価額により時価評価を行うことになります(相法4条)。

相続財産法人が相続財産を換価(現金化)している場合、その換価されている相続財産について相続開始の日の各相続財産の細目に応じてそれぞれ時価評価すべきではないかという疑問が出てくるかと思いますが、結論としては、換価された相続財産については相続財産法人から分与された金額のままで問題ありません。つまり、相続開始の日の各相続財産の細目に応じて時価評価し直す必要はありません。

根拠としては相続税法第4条で遺贈により取得したものとみなされる相続財産とは、民法958条の3に規定する「清算後残存すべき相続財産」を意味しますので、換金等された財産についてはその換金後の財産を遺贈により取得したものとみなされるためです。

また、相続財産法人を管理する管財人弁護士に対する報酬等が分与を受けた相続財産から差し引かれている場合には、当該報酬を相続財産から差し引くことはできませんので注意が必要です。
 申告期限 家庭裁判所から特別縁故者の審判が下りた日の翌日から10ヶ月以内とされています(相法29条)。
 債務控除について特別縁故者は民法で定める相続人に該当しないため、債務控除の規定を適用することができません。しかし、相続税法基本通達で相続財産法人から弁済を受けていない葬式費用や被相続人の療養看護のための入院費用については、相続財産の評価額から直接控除することと規定されています。

(相続財産法人から与えられた分与額)

相続税基本通達4-3 民法第958条の3の規定により、相続財産の分与を受けた者が、当該相続財産に係る被相続人の葬式費用又は当該被相続人の療養看護のための入院費用等の金額で相続開始の際にまだ支払われていなかったものを支払った場合において、これらの金額を相続財産から別に受けていないときは、分与を受けた金額からこれらの費用の金額を控除した価額をもって、当該分与された価額として取り扱う。
 3年内贈与財産の加算調整特別縁故者が被相続人の相続開始前(被相続人が亡くなった日前)3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合には、当該贈与財産は相続財産に加算して相続税の計算を行う必要があります。

また、相続開始の年に被相続人から贈与を受けていた場合には、贈与税ではなく相続税の課税対象となります。しかし、特別縁故者となった方が相続開始の年に被相続人から贈与を受けていた場合には、一旦贈与税の申告を行い、後日特別縁故者の審判が下った後で相続税の申告に含めて処理し、過去に行った贈与税の申告については更正の請求を行うことになります。
この更正の請求を行える期限は特別縁故者の審判を受けた日(財産分与があったことを知った日)から4ケ月以内とされています。

ただし、生命保険金の受取人になるなどして相続税の申告を過去に行なっている場合には、相続税の課税対象として申告されているはずですし、3年内贈与財産の加算調整も行われているはずです。
 (分与財産に加算する贈与財産)
相続税基本通達4-4 民法第958条の3の規定により、相続財産の分与を受けた者が当該相続に係る被相続人の相続の開始前3年以内に、被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、法第19条の規定の適用があることに留意する


特別縁故者に係る相続税計算のデメリット
特別縁故者として相続財産の分与を受けた場合には、下記のような有利な規定のほとんどが適用されませんし、逆にペナルティのような規定までが適用されてしまいます。
このことから内縁関係にある方の場合には結婚しているかしていないかで相続税の納税額に大きな違いが生じてしまいます。

 遺産に係る基礎控除 相続税の基礎控除額(相続税が課されない金額)は下記のように計算を行いますが、特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合には、法定相続人は存在していないことになりますので、相続財産の分与を受けた金額が下記の金額を超えている場合には、相続税の申告を行う必要があります。

相続開始の日が平成26年12月31日以前の場合
5,000万円+1,000万円×法定相続人の数(0人)=5,000万円

相続開始の日が平成27年1月1日以後の場合
3,000万円+600万円×法定相続人の数(0人)=3,000万円
 配偶者に対する相続税額の軽減配偶者が「相続財産の1/2まで」又は「1億6,000万円までの相続財産」を取得した場合には相続税が課税されないという制度なのですが、特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合には適用することができません。
 相続税の2割加算 被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者が被相続人の一親等の血族(父、母、子)及び配偶者に該当しないため、相続税の2割加算の対象となります。
 未成年者控除
 障害者控除
 民法に定める相続人であることが適用要件とされているため、特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合には適用することができません。
 相次相続控除
 民法に定める相続人であることが適用要件とされているため、特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合には適用することができません。
 小規模宅地の特例被相続人の親族であることが 適用要件とされているため、特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合には適用することができません。



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