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  1. 不動産屋さんにありがちな調整対象固定資産の転用問題について。
 

不動産屋さんにありがちな調整対象固定資産の転用問題について。

2017/08/21 不動産屋さんにありがちな調整対象固定資産の転用問題について。
税理士の長村です。

クライアントから賃貸用の区分所有マンション(入居者付き)を転売目的で購入し、
どこかのタイミングで売却した場合に消費税法でいうところの「調整対象固定資産」の転用の調整ができるのかについて、
よーーく聞かれます。

この質問に関しては様々な論点が内包されているので、とりあえず何回かにエントリーを分けて一個づつ検討していきましょうか。

質問してきた人もそれなりに消費税のことを知ってらっしゃるのですが、上記の質問だと色々な論点がごちゃ混ぜになってしまっています笑
インターネットで「調整対象固定資産 転用」って検索すると、結構ズラズラと出てきます。
しかし、どれもピンと来る答えが載っていないんですよね。
僕が聞きたいのは転用についてなんですが、購入時の課税仕入とかがごっちゃにされて出てきますから笑

上記の質問には大きく分けて2つの悩ましい論点があるんです。

  • 賃貸用の区分所有マンション(入居者付き)を転売目的で購入した年度の課税仕入の用途区分はどのように処理すべきか?
  • マンションの建物部分の課税仕入は課税売上のみ対応?非課税売上のみ対応?それとも共有対応?

  • その後3年以内にマンションを売却した場合には売却年度で調整対象固定資産の転用調整ができるの?
  • マンション購入年度の課税仕入を非課税売上対応で処理していた場合のみがこの論点(今回のエントリー)の対象となります。
今回質問されたのは後者の取り扱いなので、マンション購入時の消費税の用途区分については次回検討したいと思います。



消費税法でいうところの転用とは?
もう少し詳細に順をおって説明しておきたいと思うのですが、今回質問があった事案は整理すると、下記のようになっていました。
 年度状況 消費税の処理
 購入年度入居者付きの賃貸マンションを購入したので、将来的に転売する気持ちはありましたが、毎月家賃収入が発生することから、住居としての賃貸目的で取得したものとして取り扱うことにしました。 課税仕入の用途区分は「非課税売上対応」として処理を行いました。
正確にはその他の資産の譲渡等のみに要するものとして課税仕入の調整を行なった。
 転用年度
(購入年度から3年以内)
入居者が退去したタイミング等で当該物件の所有目的を賃貸目的から売却目的に変更しました。そのため、当該物件の減価償却もストップさせて、貸借対照表上の表示科目も「販売用不動産(棚卸資産)」に変更しています。
この所有目的の変更は調整対象固定資産でいうところの「転用」に該当するのでしょうか?
非課税業務用調整対象固定資産を購入年度から3年以内に課税業務用に転用した場合には転用した年度で調整計算を行うことができます。
では、上記のようなケース(所有目的)の変更が調整対象固定資産の転用に該当するのかどうかですが、これは消費税法でいうところの「転用」には当たらないと考えられます。
まずは、調整対象固定資産の転用に関する規定を抜粋してみます。

(非課税業務用調整対象固定資産を課税業務用に転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整)

消費税法 第三五条 

事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、国内において調整対象固定資産の課税仕入れを行い、又は調整対象固定資産に該当する課税貨物を保税地域から引き取り、かつ、当該課税仕入れ又は当該課税貨物に係る課税仕入れ等の税額(以下この条において「調整対象税額」という。)につき第三十条第二項第一号に定める方法により同号に規定するその他の資産の譲渡等にのみ要するものとして仕入れに係る消費税額がないこととした場合において、当該事業者(相続により当該事業者の当該調整対象固定資産に係る事業を承継した相続人、合併により当該事業を承継した合併法人及び分割により当該調整対象固定資産に係る事業を承継した分割承継法人を含むものとし、これらの者のうち第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される者を除く。)が当該調整対象固定資産を当該課税仕入れの日又は当該保税地域からの引取りの日から三年以内に同号に規定する課税資産の譲渡等に係る業務の用に供したときは、当該業務の用に供した日が次の各号に掲げる期間のいずれに属するかに応じ当該各号に定める消費税額を同日の属する課税期間における仕入れに係る消費税額に加算する。この場合において、当該加算をした後の金額を当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。

一 当該調整対象固定資産の課税仕入れの日又は当該調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りの日からこれらの日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額に相当する消費税額

二 前号に掲げる期間の末日の翌日から同日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額の三分の二に相当する消費税額

三 前号に掲げる期間の末日の翌日から同日以後一年を経過する日までの期間 調整対象税額の三分の一に相当する消費税額

非課税業務用調整対象固定資産の課税業務用に転用した場合の条文を分解すると、下記のようになります。
論点条文 消費税の処理
 購入年度における前提条件

国内に置いて調整対象固定資産の課税仕入を行い、かつ当該課税仕入に係る課税仕入等の税額につきその他の資産の譲渡等にのみ要するものとして仕入れに係る消費税額がないこととした場合 購入年度の消費税計算において、調整対象固定資産に係る課税仕入の用途区分は「非課税売上のみ対応(その他の資産の譲渡等にのみ要するもの)」として処理していること。
 転用年度について

当該調整対象固定資産を当該課税仕入れの日から三年以内に課税資産の譲渡等に係る業務の用に供したときは、当該業務の用に供した日が下記のいずれに属するかに応じて下記に定める消費税額を同日の属する課税期間に置ける仕入れに係る消費税額に加算する。購入年度:「非課税売上のみ対応(その他の資産の譲渡等にのみ要する)課税仕入
その後3年以内に課税資産の譲渡等に係る業務の用に供したときは調整対象固定資産の加算調整を行う。


ここで大事になってくるのが課税仕入の用途区分の判定はどのタイミングで行うのかについてですが、消費税基本通達では下記のように規定されています。

(課税仕入れ等の用途区分の判定時期)

消費税基本通達 11−2−20 
個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において、課税仕入れ及び保税地域から引き取った課税貨物を課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分する場合の当該区分は、課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日の状況により行うこととなるのであるが、課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日において、当該区分が明らかにされていない場合で、その日の属する課税期間の末日までに、当該区分が明らかにされたときは、その明らかにされた区分によって法第30条第2項第1号《個別対応方式による仕入税額控除》の規定を適用することとして差し支えない。  

(上記通達の解説より抜粋)
用途区分は課税仕入等を行った日において行う。当該用途区分が明らかでない場合に、課税期間の末日までに当該区分が明らかにされた場合には、その明らかにされた区分を適用することができる。また、合理的であると考えられる用途区分の判定を行った後で、実際には別の用途区分に使用された部分があったとしても、さかのぼって用途区分の判定をやり直して仕入控除税額の計算を修正する必要はない。

消費税の課税仕入に係る用途区分の判定は当該課税仕入を行った日の状況(所有目的やその課税仕入と紐つく売上)により行うことになります
では、今回のように購入年度では「住宅の家賃収入目的(非課税売上のみ対応)」であった状況から「転売目的(課税売上のみ対応)」にその用途区分が変更された場合については、解説にある通りさかのぼって用途区分の判定をやり直す必要はないとされています


そこで、この用途区分の変更が「転用」に該当し、調整対象固定資産の調整を受けることができるのかについてですが、調整対象固定資産の条文をよく読んでみると「当該課税仕入れの日から三年以内に課税資産の譲渡等に係る業務の用に★供した★とき」を転用と定義しています。
すなわちこの「業務の用に供した」というのは実際に課税資産の譲渡等に係る業務に供した場合のことを意味していると考えられることから、単に用途区分を変更した場合を意味しているのではありません
実際にその用途に従って★使用する★ところまでを求めているものと解釈されます
例えば、住宅の家賃収入目的(非課税売上のみ対応)からテナントや事務所家賃収入目的(課税売上のみ対応)に用途区分を変更し、実際にテナントや事務所として賃貸した場合には、消費税法でいうところの「転用」に該当するものとして、調整対象固定資産の調整を行うことができると考えられます。

一方、今回のご質問のように、販売用不動産に用途区分を変更したというだけでは、「課税資産の譲渡等に係る業務の用に供した」とはいえず、単に用途区分が変更されたに過ぎないので「転用」には該当しないと考えられます。



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