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  1. IFRS適用の実務負担が大きい場合
 

IFRS適用の実務負担が大きい場合

2017/08/07 IFRS適用の実務負担が大きい場合
ここでは、私がこれまでIFRS適用業務を行なってきた中で大変になるな、思ったケースはどんな場合かについて書きたいと思います。

日本基準からIFRSに変更するために実務的負担が重くなる要因としては、(1)経理部門だけでは対応が難しい分野が多いかどうか、(2)システム対応しなければならない分野が多いか、(3)関係会社(数、規模、在外など)の3つの要素が大きいと思っています。
逆にいうとこれらの要素が少ない会社は、思ったより容易にIFRS適用ができてしまう可能性があります。



(1)経理部門だけでは対応が難しい分野
IFRSと日本基準で差異があるものがありIFRS調整が必要なものでも、経理部門でIFRS修正仕訳を作成するのに必要なデータが収集できる場合は、それほど苦労することなくIFRS修正仕訳を作成することはできると思います。逆にいうとIFRS修正仕訳の数値を集計を他の事業部門の協力なくしては収集できないような場合、苦労する可能性があります。

例えば、日本では売上を出荷基準で計上することは実務慣行として一般的に認められていますが、IFRSでは商品のリスクと経済価値が顧客に移転した時点をもって売上を認識しなければならないとされていますので、出荷基準は認められない可能性があります。

売上の認識基準を出荷基準から検収基準に変更しなければならない場合、売上の計上時点を変えるためには経理部門だけでは対応できないケースが多く、場合によってはシステム改修が必要だったりして、とても大変です。

あまり会計のことに詳しくないことが想定される事業部門の方にIFRSとはなんぞや、の説明から始まり、出荷基準ではダメなんだ、という基準差異を理解してもらい、売上計上フローを見直し、新しい業務フローのデザイン、システム改修など・・・
ひたすら説明、説得、プロジェクト進捗管理が必要になります。

そうやって、みんなで頑張って作ったIFRS修正の影響額は、それほど大したことがない場合もあり・・・
なんてこともあるかも知れませんが、このように他の事業部門の協力を仰ぐ必要があるものは大変だということです。
IFRS適用の会計処理方針が定まり、その中で経理部門だけでは完結できないものがあれば、速やかに事業部門とプロジェクトチームを立ち上げ対応していく必要があります。

(2)システム対応
IFRS修正仕訳を作成するため、もしくはIFRSが要求する注記を作成するために既存のシステムでは対応できず、新しくシステム構築しなければならないような場合は、当たり前ですが実務的にも費用的にも負担が重くのしかかります。

例えば、固定資産の減価償却について、定率法では認められず定額法を採用しなければならないような場合や、税法の耐用年数では妥当ではないと判断された場合は、日本基準用(個別財務諸表)の固定資産台帳と、IFRS用の固定資産台帳を別々に持つ必要がある可能性があります。
また、IFRSは日本基準に比べて注記しなければならないことの質・量ともに多いこともあり、連結パッケージも含めた連結システムを改修しなければならないケースも多いと思います。余談ですが、2019年以降適用される新リース基準では、原則的にオペレーティングリースも資産計上しなければならないためシステム対応が必要になる可能性が高いと思います。

(3)関係会社対応
IFRSに限らず関係会社対応は大変ですが、IFRS適用プロジェクト上、最も大変なのが関係会社展開かと思います。

IFRSで連結財務諸表を作成するからには、原則的に全関係会社にIFRSを適用するべきなのですが、重要性の考え方はあるわけで、当然全ての会社にIFRSの厳密な処理を求めるわけではなく、連結財務諸表全体として重要な関係会社に対して、必要と認められる範囲で対応してもらうような進め方になると思います。そのため、まずは各関係会社の規模や、現地で採用している会計基準とIFRSとの差異の把握し、関係会社が実施している会計処理を把握して、重点対応の必要がある関係会社はどれかを決定します。

重点対応の関係会社は現状報告してもらっている個別財務諸表の、どの部分の修正が必要なのかの洗い出し、洗い出された論点の対応方針を策定し、それに沿って報告財務諸表を作成してもらわなければなりません。

また、IFRSは日本基準に比べて財務諸表注記が多く、注記を作成するためにこれまで収集してなかった情報を収集する必要があります。これは全ての関係会社に当てはまることです。それに加えて、IFRS財務諸表の報告期までは、日本基準連結財務諸表とIFRS連結財務諸表を両方作成しなければならない平行開示期間がありますので、連結システムをIFRS用に新たに構築しなければならない可能性もあります。

また、関係会社の決算日についても、IFRSでは決算日ズレに対する容認規定が日本基準に比べて厳しく、実務上不可能な場合のみ容認するのであったり、連結決算日からの3ヶ月超のズレは認められないなどとされていますので、決算日にズレがある関係会社がある場合、再整理が必要になる可能性があります。

このため、関係会社展開のためには、以下のようなステップが必要です。
(1)全体的なIFRS適用のための基本方針を策定し、関係会社の理解、共有
(2)連結グループ全体としてのIFRS会計方針の策定
(3)各関係会社の決算日に関する対応方針の策定、実施
(4)重点対応関係会社の選定、対応方針の策定、実施
(5)上記方針に基づく、IFRS関連事項の展開、浸透のための研修資料等の作成、研修の実施
(6)注記情報収集のため、あるいは平行開示期間対応のため、連結PKGの改修も含めた連結システムの再構築

IFRS適用をご検討の際には、これらの要素と自社の状況を鑑みながら進められのもいいかと思います。




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